西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
進行期有棘細胞癌に合併したガス壊疽の1例
大賀 保範高橋 聡伊藤 宏太郎橋住 有香今福 信一中山 樹一郎
著者情報
ジャーナル 認証あり

2010 年 72 巻 4 号 p. 371-373

詳細
抄録

症例は65歳の男性。2006年8月(62歳時)に会陰部の有棘細胞癌(SCC)に対して切除術を受けた。その後,腫瘍が骨盤腔内に転移し,次第に増大してきた。2009年4月骨盤腔内転移巣に対し放射線療法,TS-1® 内服施行中に,腰部左側に血疱を伴った発赤・腫脹が出現した。CT上,腰部左側皮下にガス像を認めたため,ガス壊疽と診断した。緊急デブリドマンを施行し,開放創に対しては持続陰圧吸引を行う閉鎖陰圧装置を用いた。手術後,持続陰圧吸引と創の洗浄を継続したところ全身状態の改善が認められた。自験例は骨盤腔内転移性腫瘍が腸管と腰部左側皮下に浸潤したことにより,腸内細菌による非クロストリジウム性ガス壊疽を生じたと考えられた。自験例のような悪性腫瘍による消化管穿孔を有する症例にはガス壊疽の発症が知られており注意が必要である。

著者関連情報
© 2010 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top