2010 年 72 巻 5 号 p. 478-481
66歳,女性。2005年9月頃より,下肢を中心に浸潤を触れる紫斑を認めるようになり当科を受診した。下腿の紫斑より生検しleukocytoclastic vusculitisの診断であった。また,血液検査にて,クリオグロブリン弱陽性,RA 因子高値,補体低下(C4,C1q,CH50)HCV-Ab 陽性,HCV-RNA(ハイレンジ法)2700 IU/mlと高ウイルス量であった。以上より,慢性C型肝炎に伴うクリオグロブリン血症と診断した。保存的治療により,一旦皮膚症状は軽快したが,約2年半後に紫斑が再発し,同時に膜性増殖性糸球体腎炎の合併が判明した。本症では,速やかな診断と原疾患に対する治療が重要であり,加えて腎疾患の合併についても注意が必要と考えた。