72 巻 (2010) 6 号 p. 569-576
63歳の女性。2008年末ごろ左腰部の褐色色素斑に, 2009年2月ごろ手, 四肢の紅斑に気づいた。近医での胸部X線にて間質影を指摘され, 5月中旬に当科を受診。手, 四肢に典型的なGottron徴候がみられ, 筋電図では軽度のミオパチー所見を認めたが, 筋酵素は正常範囲内で, 明らかな筋力低下も認められなかった。胸部CTではNSIP(nonspecific interstitial pneumonia)パターンの間質性肺炎を認めた。以上の所見より間質性肺炎合併clinically amyopathic dermatomyositis(以下CADM)と診断した。プレドニゾロン1 mg/kg/dayの内服を開始し, シクロスポリン150 mg/dayの併用, ステロイドパルス療法を行ったが経過中に難治性皮膚潰瘍, 縦隔気腫を併発した。シクロスポリンをタクロリムス3 mg/dayへ変更し, 呼吸状態は安定しているようにみえた。しかし入院後約5ヵ月目に誤嚥性肺炎を発症。抗生剤加療により一時改善したが, その後急速な間質性肺炎の増悪をきたし, 呼吸不全のために永眠された。CADMは予後不良の間質性肺炎を合併し, 治療抵抗性であることが知られている。皮膚筋炎合併間質性肺炎に対するエビデンスのある治療法は存在しないが, 近年, 早期からの免疫抑制剤を用いた治療法で予後が改善したとの報告がある。予後不良な本症においては, 間質性肺炎の活動性を正確に評価しながら, 免疫抑制剤による積極的かつ迅速な治療を行うことが非常に重要であると考えられた。