西日本皮膚科
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症例
Endoglin遺伝子変異を認めた遺伝性出血性末梢血管拡張症1型の1例
出口 絵美今福 信一中山 樹一郎
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2010 年 72 巻 6 号 p. 581-584

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抄録

遺伝性出血性末梢血管拡張症(hereditary hemorrhagic telangiectasia : HHT/Rendu-Osler-Weber syndrome)は反復する鼻出血で気づかれる常染色体優性遺伝性の血管奇形である。HHT患者の多くで血管内皮細胞由来のTransforming growth factor (TGF)-βスーパーファミリーシグナル調節蛋白をコードするendoglin 遺伝子(ENG)もしくはactivin receptor-like kinase 1遺伝子(ACVRL 1)の変異が認められている。本邦におけるHHT患者からはENG変異の報告しかない。症例は39歳の男性。幼少時から鼻出血を繰り返し, 6年前より難治となった。硬口蓋や舌に点状の紅色丘疹が多数みられた。口唇の紅色丘疹の病理組織像では真皮上層に拡張した毛細血管が確認された。同時に左肺動静脈瘻と小脳静脈奇形, 小腸の毛細血管拡張が認められた。遺伝子解析にてENGの変異が認められ, HHT 1型と診断された。

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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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