西日本皮膚科
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症例
小麦による食物依存性サリチル酸誘発性アナフィラキシーの1例
伊藤 理英福田 英嗣早乙女 敦子向井 秀樹新原 邦江森田 栄伸
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2010 年 72 巻 6 号 p. 608-611

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抄録

58歳, 男。3年前より年に3~4回, パン, ラーメン, ハンバーガーなどを摂取した後に膨疹が出現していた。2008年4月, そばを摂取後に全身の膨疹や呼吸苦が生じたため, 当科を受診した。臨床検査所見にてIgE RASTでは, コムギがクラス2, グルテンはクラス3であった。ステロイドの点滴および抗アレルギー剤の内服で症状は軽快した。後日, 負荷試験を行い小麦摂取+運動負荷, アスピリン摂取のみでは, いずれも症状は誘発されなかったが, アスピリン摂取後に小麦摂取を行ったところ, 1時間後に全身に膨疹や紅斑が出現した。また, 血清中にω-5 グリアジンに対する特異IgEを有していたことより, 自験例を小麦による食物依存性サリチル酸誘発性アナフィラキシーと診断した。その後.患者にアスピリンや小麦の摂取を制限するよう指導し, 偶然摂取した場合も想定しエピネフリン自己注射キットを携帯することとした。

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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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