西日本皮膚科
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症例
フェニレフリン塩酸塩によるアレルギー性接触眼瞼結膜炎の1例
松尾 明子林 宏明藤本 亘越智 順子
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2011 年 73 巻 3 号 p. 217-220

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抄録

59歳,男性。左眼外傷の術後2日目より結膜の充血を伴い左眼囲,頬部に紅斑・小水疱が出現した。消毒薬もしくは点眼薬による接触皮膚炎が疑われ,ステロイド外用薬にて頬部の紅斑は改善したが眼瞼結膜炎は増悪した。ミドリン®P(トロピカミド0.5%,フェニレフリン塩酸塩0.5%含有),ネオシネジン®(フェニレフリン塩酸塩5%含有)のパッチテストは強陽性を示した。成分パッチテストの結果,0.05%濃度フェニレフリン塩酸塩で陽性であった。ミドリン®Pの使用中止後,散瞳検査にアトロピンを使用し眼瞼結膜炎は完全に消退した。患者は皮疹出現までの間にフェニレフリン含有点眼剤を最低15回は使用されていた。検査のため頻回に点眼薬を使用したことがフェニレフリン塩酸塩に対する感作をもたらしたと推測された。

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© 2011 日本皮膚科学会西部支部
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