西日本皮膚科
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症例
無症状の母体から出現した新生児エリテマトーデスの1例
吉村 映里増永 可奈増野 年彦原田 佳代久保山 智世占部 和敬佐藤 和夫今山 修平
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2011 年 73 巻 3 号 p. 225-228

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抄録

2ヵ月の女児。生後6日頃から左側頭部に淡い紅斑の出現を認め,その後,徐々に頭部,胸部へ拡大した。初診時,側頭部から前胸部にかけて浸潤を触れる環状紅斑を認めた。皮膚生検で表皮基底細胞層の液状変性を認めた。抗SS-A抗体104.9index,抗SS-B抗体53.2indexと陽性であり,新生児エリテマトーデスと診断した。房室ブロックの合併はなく,軽度の肝機能障害を伴っていたが,皮疹とともに,生後6ヵ月には自然に軽快した。児の母親に自覚症状を認めておらず,採血にて抗SS-A抗体,抗SS-B抗体陽性が指摘された。新生児エリテマトーデスの診断を契機に,母親の膠原病の可能性を指摘された症例を文献検索した。詳細な検討が可能であった26例の中で抗体陽性のみを指摘された例は9例,検査の結果シェーグレン症候群と診断された例は16例,全身性エリテマトーデスと診断された例が1例あった。

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© 2011 日本皮膚科学会西部支部
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