西日本皮膚科
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症例
妊娠中に増大し,流産後に縮小した悪性黒色腫の1例
増岡 美穂三砂 範幸上村 春子古場 慎一成澤 寛望月 良子
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2011 年 73 巻 3 号 p. 237-240

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抄録

29歳,女性。右臀部に結節が出現し,妊娠に気付いた頃より徐々に増大した。妊娠8週頃に流産し,その後,結節は縮小傾向であった。近医皮膚科を受診し,局所麻酔下に切除され,病理組織学的に悪性黒色腫のため,当科紹介となった。明らかな遠隔転移なく,センチネルリンパ節生検は陰性であり,pT4aN0M0 : Stage II B と診断した。原発巣の拡大切除術を行い,DAV-Feron 療法を開始後まもなく,右鼠径部のリンパ節転移を認めた。リンパ節郭清を行い DAV-Feron 療法を5クール目まで行ったが,初診の2年後に多発転移を認め,永眠された。自験例は,妊娠中に増大し流産後に縮小傾向となった悪性黒色腫であり,妊娠と悪性黒色腫の関与を伺わせ,文献的考察を加え報告した。

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© 2011 日本皮膚科学会西部支部
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