西日本皮膚科
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症例
SLE患者の下肢に生じた皮膚Mycobacterium abscessus 感染症の1例
井上 卓也三砂 範幸成澤 寛
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2011 年 73 巻 4 号 p. 383-387

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抄録

53歳,女性。SLEにてbetamethasone 1.5mg/day内服中であった。1ヵ月前より左下腿から膝蓋にかけて皮下結節が多発してきた。病理組織学的に化膿性肉芽腫の所見で,抗酸菌培養にてMycobacterium abscessus (以下,M. abscessus )が検出された。Clarithromycin(CAM)400mg/day 内服にて治療を開始したところ,4ヵ月後には皮下硬結も消失した。皮膚非結核性抗酸菌感染症の起因菌として,M. abscessus は稀であり,治療法も確立されていない。しかしながら,最も有効な薬剤はCAMと考えられており,levofloxacin(LVFX)などの経口剤やamikacin(AM),imipenem(IPM)などの非経口剤との併用により耐性菌の出現に注意して治療することが重要である。自験例は,SLE患者に生じた皮膚M. abscessus 感染症の本邦初症例である。

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© 2011 日本皮膚科学会西部支部
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