西日本皮膚科
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症例
ケルスス禿瘡がみられたTrichophyton tonsurans 感染症の家族内発生例
鍬塚 さやか芦田 美輪西村 香織増輪 文治芦塚 文美西本 勝太郎吉崎 麻子鍬塚 大竹中 基宇谷 厚志
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2011 年 73 巻 4 号 p. 388-391

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抄録

6歳,女児,小学生,少年柔道クラブ所属。初診の2週前より頭頂部に発赤,膿疱,皮下膿瘍を伴った脱毛斑を形成するようになった。排膿があり,毛髪は容易に抜けた。培養によりTrichophyton tonsuransT. tonsurans )を分離,同菌種によるケルスス禿瘡と診断した。グリセオフルビン錠(250mg/日)を3ヵ月間投与し瘢痕治癒した。家族と柔道クラブ全員の頭髪のヘアブラシ法による集団検診を行ったところ,長兄が全スパイクにT. tonsurans のコロニーを生じ,家族内感染が明らかとなった。これまでにT. tonsurans によるケルスス禿瘡は29例の報告があるが,自験例は格闘家白癬でみられたケルスス禿瘡では,6歳という若年者である点が注目すべき点であり,日常診療において年少者の頭部の診察に際しての注意が必要と考えた。

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© 2011 日本皮膚科学会西部支部
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