2012 年 74 巻 1 号 p. 10-14
68歳,女性。2008年1月に皮膚腫瘍切除術を受けた際に,前額部に中央がやや陥凹した紅色丘疹を指摘され,その2週間後から全身に皮疹が拡大した。臨床像ならびに病理組織検査所見より汎発性環状肉芽腫と診断した。ステロイド剤の外用および内服で皮疹は改善したが,内服中止後に再燃し,トラニラスト内服やナローバンドUVB療法も無効であったため,当科を紹介受診した。ハンセン病治療で用いられるリファンピシン,オフロキサシン,塩酸ミノサイクリンによる多剤併用療法を行ったところ皮疹の改善を認めた。2週間後に汎血球減少の進行が認められたため中止したが,回復した後,塩酸ミノサイクリンを単独投与し,寛解が得られた。