西日本皮膚科
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症例
Primary Dermal Melanoma の1例
米倉 直美古場 慎一篠田 洋介三砂 範幸成澤 寛鈴木 久美子倉富 勇一郎
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2012 年 74 巻 2 号 p. 146-148

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抄録

52歳,男性。左頚部の皮下結節を近医で全摘された。病理組織学的所見では,病変は表皮との連続性のない真皮下層から皮下脂肪織に孤立性に存在し,大小様々な細胞が充実性に増殖し,異型性のある核を有していた。免疫組織化学染色ではMelan-AおよびHMB-45が陽性であった。以上の所見より転移性悪性黒色腫が考えられた。しかし,身体診察では原発巣を疑う所見はなく,各種画像検査でリンパ節腫大や多臓器への転移を示唆する所見はなくprimary dermal melanoma (PDM)と診断した。PDMは,2000年にBowenらが真皮内または皮下組織を原発巣とする悪性黒色腫の特徴をまとめて報告し,その後PDMの名称で報告がなされている悪性黒色腫の新しい亜型である。また,PDMとして報告されたものは,比較的長期予後が良好なものが多い。自験例では,拡大切除術および頚部リンパ節郭清術を施行後,術後化学療法を行った。術後約4年半が経過したが,再発転移なく経過している。

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© 2012 日本皮膚科学会西部支部
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