2012 年 74 巻 5 号 p. 484-487
74歳,男性。数年来の四肢,体幹のそう痒を伴う紅斑,紅色丘疹,掌蹠の過角化を主訴に当科を受診した。これまで近医皮膚科でステロイド外用および抗アレルギー薬内服治療を受けるも効果は乏しく,当科でナローバンド UVB 療法を併用したが難治であった。大きな皺を避けて皮疹が分布しているという臨床的特徴より,丘疹紅皮症と診断し,掌蹠の角化性病変は Bazex 症候群の合併を考えたが,耳介や鼻の皮疹,爪の変化は伴っていなかった。悪性腫瘍検索を行ったところ,上部消化管内視鏡にて胃癌が発見され,胃癌摘出術後,それまで難治であった皮疹の劇的な改善を認めた。以上より皮疹と悪性腫瘍との間に因果関係が推測された。