西日本皮膚科
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症例
自然退縮した乳児指趾線維腫症の 1 例
佐々木 良輔有馬 豪岩田 洋平松永 佳世子
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2012 年 74 巻 6 号 p. 604-607

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抄録

11 ヵ月の女児。生後 1 ヵ月頃より右第 4 指に丘疹が出現し,徐々に増大傾向となったため当院を受診した。右手第 4 指遠位指節間関節付近に径 15 mm と 6 mm の 2 つの皮下結節を認めた。病理組織像で紡錘形腫瘍細胞の増生と好酸性封入体を認め,乳児指趾線維腫症と診断した。手指の可動制限や成長障害は認めなかったため,無治療で経過観察したところ軽度の瘢痕は残したものの機能障害は残さず 1 年後には自然消退した。本症は自然退縮することも多いため,成長障害や機能障害が危惧される症例を除けば,まずは経過観察してみることが適切と考えられる。本症は稀な疾患ではあるが,乳児の指趾に好発するため両親をはじめとした家族の不安も強いことも多い。本症に対する治療法や経過について充分なインフォームドコンセントを行っていくことが皮膚科医として大切と考えられた。

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© 2012 日本皮膚科学会西部支部
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