2012 年 74 巻 6 号 p. 614-618
62 歳,女性。3 年前にドアで打撲した前頭部左側に小腫瘤が出現し,徐々に増大した。肉眼的に摘出腫瘤は白色の被膜に包まれ,突出性の暗赤色血腫様で,病理組織学的には出血を伴って多房構造を呈する比較的境界明瞭な腫瘤であり,内皮細胞を伴わない吻合性血管腔様構造が目立ち,硝子化した線維性間質内に組織球様細胞の増殖がみられた。また一部に線維芽細胞様の紡錘形細胞も増殖していた。臨床所見と病理組織所見より aneurysmal fibrous histiocytoma と診断した。鑑別疾患として angiomatoid malignant fibrous histiocytomaやchronic expanding hematoma が挙げられ,それぞれを比較検討した。