西日本皮膚科
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症例
抗セントロメア抗体陽性の Sjögren 症候群患者に生じた指趾潰瘍の 3 例
難波 千佳小田 富美子宮脇 さおり花川 靖村上 信司佐山 浩二
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ジャーナル 認証あり

2013 年 75 巻 1 号 p. 3-6

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抄録

指趾潰瘍を生じる膠原病としては,強皮症がよく知られている。今回われわれは,指趾の硬化なく,レイノー現象から指趾潰瘍を生じた抗セントロメア抗体陽性の Sjögren 症候群患者 3 例を経験したので報告する。症例 1 : 74 歳,女性。1997 年より Sjögren 症候群あり,2009 年 11 月より足趾にレイノー現象が出現した。2010 年 1 月に右第 4 趾先端に潰瘍が生じた。手指にはレイノー現象・潰瘍は認めなかった。症例 2 : 76 歳,女性。2000年より Sjögren 症候群あり,同時期から冬季に指趾にレイノー現象が出現した。2011 年 5 月より間質性肺炎の合併があり,PSL 内服開始した。6 月より手指の冷感,チアノーゼが強くなり,7 月に手指先端に潰瘍が生じた。症例 3 : 57 歳,女性。2002 年より Sjögren 症候群あり,同時期より手指にレイノー現象が出現した。2003 年より間質性肺炎の合併あり,PSL 内服を開始,2006 年よりシクロスポリンを併用した。同年冬季より指尖潰瘍を認め,寛解増悪を繰り返している。3 例ともに強皮症の合併はなく,抗 SS-A 抗体は陽性であり,抗 SS-B 抗体は陰性であった。抗セントロメア抗体陽性の Sjögren 症候群患者では指趾の硬化なく,指趾のレイノー現象から指趾潰瘍をきたす可能性がある。

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© 2013 日本皮膚科学会西部支部
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