西日本皮膚科
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治療
原発性腋窩多汗症患者に対する A 型ボツリヌス毒素製剤の治療評価
大嶋 雄一郎玉田 康彦横関 博雄前田 俊夫遠藤 輝千田 朋子長岐 為一郎
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2013 年 75 巻 4 号 p. 357-364

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抄録

原発性腋窩多汗症に対する A 型ボツリヌス毒素 (以下,BoNTA) による治療は,海外では広く実施され,有効性および安全性はすでに検証されている。今回,日本人の原発性腋窩多汗症患者に A 型ボツリヌス毒素製剤を投与した際の有効性について,重量測定法による発汗重量を指標として,プラセボに対する優越性を検証した。また,BoNTA を最大 2 回,反復投与した際の有効性および安全性を検討した。原発性腋窩多汗症患者 152 例に二重盲検下で BoNTA 50 単位/片腋窩(左右腋窩合わせて合計 100 単位)またはプラセボを単回投与し,16,20,24 週後に再投与基準を満たした被験者には BoNTA 50 単位/片腋窩を投与して,初回投与 40 週後まで観察を行った。BoNTA 初回投与 4 週後の重量測定法による発汗重量のレスポンダー率は,BoNTA 群で 96.2%,プラセボ群で 45.9%であり,BoNTA 群のレスポンダー率は,プラセボ群と比べ有意に高く (P<0.001),BoNTA のプラセボに対する優越性が認められた。また,反復投与した場合でも初回投与と同様の効果が認められた。初回投与後の副作用の発現頻度は BoNTA 群 (3%),プラセボ群 (3%) と差はなく,BoNTA の反復投与においても有害事象の発現頻度の上昇は認められなかった。今回の結果より,日本人においても,腋窩多汗症患者に対する BoNTA 単回投与により発汗量を抑制する効果が得られ,反復投与においても有効で安全であることが示された。

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© 2013 日本皮膚科学会西部支部
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