西日本皮膚科
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症例
出産後急激に悪化し, インフリキシマブによる治療を行った膿疱性乾癬の 1 例
堤 玲子足立 孝司吉田 雄一山元 修
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2013 年 75 巻 6 号 p. 504-507

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抄録

37 歳,女性。生後 3 カ月より膿疱性乾癬を発症し,以後ステロイド外用薬やシクロスポリン A(CyA) 内服による治療を受けていた。上気道感染や抗生剤内服後に皮疹が悪化することがしばしばあった。第 2 子出産後,皮疹と全身状態が著明に悪化した。CyA を 250 mg/day に増量した上,プレドニゾロン (PSL) 内服を 20 mg/day から開始し 50 mg/day まで増量したが治療抵抗性であり,インフリキシマブによる治療に変更した。治療後 6 日目までに劇的に症状は改善した。膿疱性乾癬が出産後に著明に悪化した例は,われわれの検索した限りでは本邦では報告が見当たらなかった。妊婦・授乳婦に対する CyA や生物製剤の使用に関しては,ガイドライン上,重症例では選択肢の 1 つに挙げられているが,その危険性と効果とのバランスを考え,慎重に判断する必要があると思われる。

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© 2013 日本皮膚科学会西部支部
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