2013 年 75 巻 6 号 p. 508-510
83 歳,男性。小児期より露光部の色素沈着を自覚していた。64 歳時に長崎大学病院皮膚科を初診した。皮膚症状は軽症で,神経症状や眼症状はみられなかった。UVB による最少紅斑量 (minimal erythema dose ; MED) 低下,不定期 DNA 合成能低下を認め,細胞融合による XP 相補性テストにより XP-F 群と診断した。その後,露光部に有棘細胞癌 2 個,基底細胞癌 1 個,日光角化症 14 個の出現があり,適宜切除を行っている。本例では診断後,本人のできる範囲で遮光をするも皮膚腫瘍の発生は抑制できていない。このことから,皮膚腫瘍発生を抑えるにはより若年からの厳重な紫外線防御が重要であることが示唆された。現在まで,本例では定期的な経過観察により皮膚腫瘍の早期発見を行うことで対応している。