西日本皮膚科
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研究
リラナフタートによるヒト表皮細胞の Aryl Hydrocarbon Receptor を 介した抗炎症・抗酸化作用
高原 正和竹井 賢二郎八谷 顕子溝手 政博村井 美華佐々木 誉詩子大野 文高岡部 倫子武 信肇増田 亜希子古江 増隆
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2014 年 76 巻 2 号 p. 121-126

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抄録
白癬に対する外用治療薬であるリラナフタート (ゼフナート®) は,強い抗真菌作用に加えて抗炎症作用などを有することが知られている。本研究では,培養ヒト表皮細胞にリラナフタートを添加し,その機序を検討した。リラナフタートを添加すると,表皮細胞質内に存在していた aryl hydrocarbon receptor (AhR) は核内に移動した。加えて抗酸化転写因子である nuclear factor-erythroid 2-related factor-2 (Nrf2) の核内移行,ならびに抗酸化酵素である NAD (P) H:quinone oxidoreductase 1 (Nqo1) と Nrf2 の mRNA 発現が亢進された。また,TNFa 刺激下での活性酸素および IL-8 の産生を抑制した。siRNA 導入によりAhR をノックダウンして検討したところ,リラナフタートによる Nrf2,Nqo1 の発現誘導,IL-8 抑制作用がキャンセルされ,AhR を介した効果であることが示唆された。さらに,リラナフタートは表皮分化,バリア機能に中心的な役割を担うフィラグリン,ロリクリン,インボルクリン,トランスグルタミナーゼ 5 の発現も AhR 依存性に誘導することが明らかになった。リラナフタートの抗真菌作用に加えて,これらの現象が,白癬の臨床症状を速やかに改善させる機序の一端を担っている可能性がある。
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© 2014 日本皮膚科学会西部支部
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