西日本皮膚科
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症例
生後 1 カ月で消退した Solitary Langerhans Cell Histiocytosis (Congenital Self-healing Reticulohistiocytosis) の 1 例
河野 秀郎橋川 恵子夏秋 洋平名嘉眞 武国安元 慎一郎橋本 隆
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2014 年 76 巻 3 号 p. 206-209

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抄録

生後4 日目,女児。2010 年 4 月に正常分娩,3000 g で出生。出生時より右上背部に,表面に黄色痂皮と潰瘍を伴う直径 2 cm の紅色結節を認め,当科紹介となった。病理組織学的所見は真皮全層にコーヒー豆様のくびれた核を持つ胞体のやや豊富な組織球様細胞がびまん性に浸潤し,その周囲にはリンパ球や好酸球も認めた。免疫染色を行ったところ浸潤する細胞は S-100 蛋白,CD1a,langerin に陽性であった。 以上より Langerhans 細胞組織球症が考えられたため,全身精査として血液生化学検査や腹部エコー,全身骨レントゲン,骨シンチ,頭部 MRI を施行したが,Langerhans 細胞組織球症による皮膚以外の他臓器への浸潤を疑う所見は認めなかったため Langerhans 細胞組織球症のなかでも congenital self-healing reticulohistiocytosis (以下 CSHR) の可能性を考え,治療は行わずに経過観察を行った。その後,結節は生後31日目に自然消退したため最終的に CSHR と診断した。生後 6 カ月の現在,結節の再発は認めておらず全身状態も良好である。しかし,予後に関しては皮疹の消退を確認した後に他臓器での再燃をきたすことなどもまれに報告があり,本症例でも今後も長期にわたり注意深い経過観察が必要と考えられる。

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© 2014 日本皮膚科学会西部支部
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