西日本皮膚科
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治療
重症原発性腋窩多汗症に対する A 型ボツリヌス毒素 (ボトックス®) 局注療法の有効性および患者治療満足度の検討
大嶋 雄一郎柳下 武士伊東 慶子玉田 康彦渡辺 大輔
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2014 年 76 巻 3 号 p. 248-252

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抄録

2012 年 11 月,本邦において重度原発性腋窩多汗症に対する A 型ボツリヌス毒素 (以下,BTX-A) (ボトックス®) 局注療法が,健康保険で受けられるようになった。重症原発性腋窩多汗症で BTX-A 局注療法を受けた患者 31 人に対してアンケート調査を実施し,患者背景,治療効果,治療満足度について検討した。治療前,治療 1 カ月後における Hyperhidrosis Disease Severity Scale を比較すると,治療前平均3.43±0.5 であったのに対し,治療 1 カ月後平均 1.22±0.42 と有意な低下を認めた。治療満足度は,患者全員が「非常に満足している」,「比較的満足している」と回答した。さらに,治療効果がなくなったら,また BTX-A 局注療法を受けたいかという質問では「ぜひもう一度受けたい」と回答した患者が88%を占めた。以上のことから BTX-A 局注療法は十分な治療効果が期待でき,治療満足度も非常に高い治療であることが理解できる。患者の76%は医療機関で初めて医師から健康保険で BTX-A 局注療法を受けることができることを教えてもらっており,まだ世間の人達には健康保険で治療できることが認知されていないのが現状である。今後,我々は世間の人にもっと BTX-A 局注療法を知って頂くように働きかけ,腋窩の多汗に対して一人で悩み,日常生活において制限があり,精神的苦痛を受けている患者が一人でも多く医療機関を受診し,適切な治療を受ける事ができる環境作りも重要であると考える。

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© 2014 日本皮膚科学会西部支部
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