2014 年 76 巻 4 号 p. 317-323
80 歳,女性。初診の約 2 年前,排尿障害を主訴に泌尿器科開業医を受診。陰唇の部分的癒着を認め,近くの総合病院皮膚科を紹介された。癒着部位の生検で組織学的に液状変性を認めた。ステロイドの外用を 2 年間続けたが改善がなく癒着も高度になったため,精査加療目的に当科紹介となった。初診時陰唇は完全に癒着しピンホール大の小孔が開いている状態であり,陰唇癒着症と診断した。治療は単純外陰切除術を施行した。陰唇癒着症はこれまで不潔・感染・炎症によるびらんから 2 次的に癒着する疾患と考えられてきた。自験例の初回生検結果から,陰唇癒着症に苔癬化反応が関与する可能性が示唆された。これまでの報告例をまとめ,組織学的検討と考察を加えて報告する。