西日本皮膚科
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症例
リウマトイド因子が高値で関節リウマチ様症状を呈し下肢に紫斑を生じた成人ヒトパルボウイルス B19 感染症の 1 例
中村 有希子中村 好貴松本 貴志子倉田 裕介武藤 正彦
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2015 年 77 巻 2 号 p. 134-137

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抄録

54 歳,女性。初診の 1 週間前より発熱,全身倦怠感が出現した。その後,両側の手,足,膝関節の腫脹,疼痛,両下肢の発疹が出現したため,当科へ入院となった。両大腿から下腿にかけて点状から斑状の紫斑を認め,病理組織学的検査にて真皮浅層から中層にかけての血管に白血球破砕性血管炎を認めた。血液検査所見では CRP 上昇,赤沈亢進,リウマトイド因子高値を認めたため,関節リウマチを疑ったが,発熱,関節痛,下肢の紫斑は対処療法のみで軽快した。抗ヒトパルボウイルス B19 IgM 抗体が陽性であったことから,一連の臨床症状はヒトパルボウイルス B19 感染に伴うものと診断した。臨床症状は対処療法のみで軽快したが,発疹消退後 3 年経過した現在においても,数値は減少したもののリウマトイド因子は依然として陽性のままである。成人ヒトパルボウイルス B19 感染症はリウマトイド因子陽性や関節リウマチ様症状を呈し,一時的に関節リウマチの診断基準を満たすこともある。成人ヒトパルボウイルス B19 感染症はリウマチ・膠原病疾患との鑑別を要する疾患であり,発熱,関節痛を伴い非典型的な発疹を呈する成人例に対しては,ヒトパルボウイルス B19 感染症を念頭におくことが診断に際して重要である。

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© 2015 日本皮膚科学会西部支部
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