西日本皮膚科
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症例
バラの棘による外傷を契機に発症した限局型皮膚ノカルジア症の 1 例
竹井 賢二郎高原 正和永江 航之介辻 学松田 哲男中原 剛士内 博史古江 増隆
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2015 年 77 巻 2 号 p. 142-145

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抄録

72 歳,男性。高血圧と糖尿病で加療中であった。当科初診の 3 カ月前に左前腕にバラの棘が刺さり,同部位に紅色丘疹が出現した。近医で加療されたが,軽快せず当科を紹介され受診した。左前腕に自覚症状のない直径 2 cm で,中心に痂皮を伴った紅斑が認められた。紅斑からの生検組織をサブロー・デキストロース寒天培地で培養したところ,表面が平滑で皺襞があり隆起した,白色で中央がオレンジ色のコロニーが形成された。分離された菌はグラム陽性で,分岐した糸状発育を示す桿菌であり,ノカルジア属と考えられた。分子生物学的同定法にて16S-rRNA の配列が,Nocardia brasiliensis に一致した。以上から,本症例を Nocardia brasiliensis による皮膚ノカルジア症と診断した。治療は,ミノサイクリン 200 mg/日の内服を開始したところ 6 週間でわずかな瘢痕を残して略治した。

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© 2015 日本皮膚科学会西部支部
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