西日本皮膚科
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症例
妊娠性疱疹の 1 例
―― 産褥期に発症した症例 ――
小池 真美林 周次郎大谷 翼伶小田 佐智子濱崎 洋一郎籏持 淳
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2015 年 77 巻 6 号 p. 548-551

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抄録

30 歳,女性。初産婦。妊娠 41 週 0 日に男児を正常分娩で出産し,児に異常はみられなかった。出産 2 日後より四肢を中心に紅斑と小水疱を伴う皮疹が出現し,徐々に拡大してきたため精査・加療目的に当院を紹介され受診した。初診時,特に足背・手背に瘙痒を伴う緊満性水疱が多発し,多形滲出性紅斑様の紅斑を認めた。血液検査所見では抗 BP180NC16a 抗体(以下抗 BP180 抗体)は 280 と高値,病理組織学的所見では表皮下水疱がみられ,水疱内にフィブリンを認めた。蛍光抗体直接法では,表皮基底膜部に IgG,C3 が線状に沈着していた。以上より自験例を妊娠性疱疹と診断した。プレドニゾロン(PSL)50mg/日から治療を開始し,皮疹は軽快した。現在 PSL 5 mg/日まで漸減しているが症状の再燃はみられていない。 本邦でこれまでに報告された産褥期に発症した妊娠性疱疹 9 例の抗 BP180 抗体の ELISA による測定値を検討したところ,産褥期発症例では出産前発症例に比較して低値であった。これに対し,自験例は産褥期発症例であるにもかかわらず高値を示した点が特異であると思われた。

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© 2015 日本皮膚科学会西部支部
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