西日本皮膚科
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症例
経過中に DIC を発症し,腎不全に至った IgA 血管炎の 1 例
森坂 広行寺石 美香佐野 ほづみ志賀 建夫山本 真有子中島 英貴松本 竜季佐野 栄紀
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2016 年 78 巻 2 号 p. 117-120

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抄録

76 歳,女性。咽頭痛出現後に下腿に紫斑を生じて当科を受診した。初診時,両下腿から足背に紫斑が散在し,足背には拇指頭大の血疱を認めた。下腿の皮膚生検を施行し,好中球による核破砕性血管炎,蛍光抗体法で真皮浅層細静脈壁に IgA,C3 の沈着を認め,IgA 血管炎と診断した。血液凝固第 XIII 因子の著明な低下および尿蛋白を認めたため,入院のうえ抗生剤の内服治療を行った。紫斑は軽快傾向を示したが,第 6 病日より尿蛋白量の増加とともに紫斑の新生,頻回な鼻出血,眼瞼結膜の出血を生じた。臨床症状と臨床検査結果より播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation syndrome : DIC) と診断し,ステロイドミニパルス療法,トロンボモジュリン製剤投与,第 XIII 因子補充を施行し,続けてステロイド内服投与も開始した。これにより出血傾向や皮疹は改善したが,急速な腎障害を生じたため生検を施行し紫斑病性腎炎の所見を得た。このため,ステロイドパルス療法,シクロホスファミドパルス療法,血漿交換,LDL アフェレーシスを行い急性期は脱したが,慢性腎不全に移行した。第 XIII 因子の活性低下は IgA 血管炎の重症化予測因子として有効である可能性を示す症例であり,入院当初より IgA 血管炎に対してステロイド内服を含めた十分な初期治療を行うことで DIC の重症化および腎機能障害の遷延化を防ぐことができた可能性がある。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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