西日本皮膚科
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治療
アトピー性皮膚炎患者の自他覚症状に対する漢方薬の併用効果 ―― 温清飲と四物湯の比較試験 ――
小林 裕美柳原 茂人田宮 久詩中西 健史水野 信之鶴田 大輔石井 正光
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2016 年 78 巻 2 号 p. 171-176

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抄録

標準治療のみでは改善しない中等症以上のアトピー性皮膚炎患者に,それまでの治療を続けたうえで温清飲あるいは四物湯のいずれかを 4 週間投与して,痒みなどの自覚症状,皮膚症状の重症度および QOL に及ぼす効果を比較検討した。温清飲群 8 例,四物湯群 7 例を解析した結果,痒み,乾燥および睡眠障害の自覚症状は,温清飲群では全てに有意な改善を認めたが,四物湯群では有意な改善が認められなかった。特に,乾燥症状の投与前後の変化量は,温清飲と四物湯の群間比較においても有意差を認めた。皮膚症状の重症度の指標である SCORAD スコアは,温清飲群のみで有意な改善を認めた。TARC 値による評価では,両群共に投与前後の有意な変化はなかったが,温清飲群において投与前中等症(> 700 pg/ml)を呈した 1 例が投与後に軽症(< 700 pg/ml)となった。Skindex-16 による QOL 評価では,温清飲群で「合計」,「症状」および「感情」で,四物湯群では,「合計」,「感情」および「機能」で有意な改善を認めた。 スコアの変化量はいずれも群間の有意差は無かったが,「症状」および「感情」で温清飲群の改善度がより高い傾向を示した。黄連解毒湯と四物湯の合方である温清飲は,皮膚の血行改善や保湿に働く四物湯単独よりも,抗炎症などの作用を有する生薬が加わることにより,アトピー性皮膚炎の炎症,乾燥および痒みを軽減させる作用を発揮し,QOL 改善に貢献できる薬剤であることが示された。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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