西日本皮膚科
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治療
日光角化症に対するイミキモド(ベセルナクリーム 5%)外用の有効性, 安全性を評価する後ろ向き多施設共同臨床研究
安田 正人岡田 悦子長谷川 道子遠藤 雪恵龍崎 圭一郎岡田 克之田村 敦志石川 治
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2016 年 78 巻 4 号 p. 408-413

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抄録

日光角化症は,紫外線による表皮細胞の DNA 損傷から生じる表皮内癌であり,有棘細胞癌の早期病変である。近年,人口の高齢化とともにその発症数は増加してきており,早期治療が重要である。2011 年,日光角化症に対しイミキモド(ベセルナクリーム 5%)が保険適応疾患として追加承認された。日光角化症に対するイミキモド外用療法の有効性ならびに安全性を評価するために,2012年 6月から2013 年 6 月までイミキモドにより治療された日光角化症症例を解析する後ろ向き多施設共同臨床研究を行った。対象症例は 46 例,男性 23 例,女性 23 例,平均年齢は 82.2 歳,罹病期間の平均は 29.3 カ月であり,9 例に前治療歴があった。イミキモドは添付文書通りに使用されており,3 回/週で 4 週間外用,4 週間休薬し,効果不十分の場合はもう 1 コース追加された。奏効率は 78%,治療後 12 カ月まで観察できた 18 例では全例で再発はみられなかった。イミキモド外用による有害事象は,局所皮膚反応のみで,1 コース目では 47.8%,2 コース目では 8.7%にみられた。1 例は休薬する必要があったが,中止後速やかに改善していた。これまでの報告と同様,イミキモド外用は有効性が高く,再発率が低いことから,日光角化症に対して非常に有用な治療薬剤であると考える。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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