2016 年 78 巻 5 号 p. 500-503
30 歳,女性。3 カ月前より自覚した右拇指の爪甲変形にて受診した。MRI にて右拇指の爪甲部に 8.7 × 6.2×4.5 mm の結節を認め,局所麻酔下に切除を行った。結節は比較的容易に周囲組織から剝離でき,爪母を温存して摘出することが可能であった。病理組織学的には,真皮から皮下組織にかけて,表皮との連続性がなく被膜を有さない比較的境界明瞭な結節性病変を認め,同部位は粘液様間質と,間質内に不規則かつ束状に増生する紡錘形もしくは星芒状の線維芽細胞様細胞により構成されていた。 免疫組織化学染色では腫瘍細胞は vimentin と CD34 に陽性所見を示した。以上より自験例を superficial acral fibromyxoma と診断した。術後経過は良好で爪甲の再生を認め,術後の爪甲変形を最小限に抑えることができた。