西日本皮膚科
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症例
Primary Cutaneous Anaplastic Large Cell Lymphoma の放射線療法後に Dystrophic Xanthomatization を来した 1 例
北川 徳子三苫 千景安河内 由美佐々木 智成内 博史古江 増隆
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2017 年 79 巻 2 号 p. 171-175

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抄録

83 歳,女性。初診時に左耳に紅色腫瘤が多発していた。組織学的には,真皮全層にびまん性に稠密なリンパ球浸潤を認め,中から大型の核を有する異型リンパ球で構成されていた。免疫組織化学染色では,異型リンパ球は CD30 に強陽性,ALK (anaplastic lymphoma kinase) 陰性だった。皮膚外病変は認めず,皮膚原発性未分化大細胞リンパ腫 (primary cutaneous anaplastic large cell lymphoma, PCALCL) と診断した。皮膚病変は多発するも左耳に限局していたため,左耳から側頚部にかけて電子線総量 40 Gy/20 Fr を照射した。個々の腫瘤は著明に縮小したが,照射終了後,腫瘤部位に一致して黄色結節が残存し,1,2 カ月して再度増大してきた。黄色結節は,組織学的に真皮全層に亘り無数の泡沫細胞がみられ,異型リンパ球は残存しなかった。以上より PCALCL が放射線療法にて消退する過程で形成された dystrophic xanthomatization と診断した。PCALCL 経過中に xanthomatization を来した症例について文献的考察を加え報告する。

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© 2017 日本皮膚科学会西部支部
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