西日本皮膚科
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症例
汎発性の白斑を生じた Vogt-小柳-原田病の 1 例
木村 七絵前村 紘美高松 紘子原田 佳代占部 和敬古江 増隆
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2017 年 79 巻 3 号 p. 242-245

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抄録

80 歳,男性。初診の約 10 年前,右眼の加齢黄斑変性の手術後に突然頭髪が白毛になり,その後顔面に白斑を生じた。白斑は全身に拡大し,他院で紫外線治療を行われるも改善なく経過していた。初診の約 3 週間前に霧視が出現したため近医眼科を受診し,両眼の汎ぶどう膜炎を指摘され当院眼科へ紹介された。 眼科診察では前眼部の炎症後変化と夕焼け様眼底を認めた。白斑について当科受診し,皮膚生検では基底層にメラノサイトを認めず,免疫組織化学染色では Melan-A は陰性であった。眼底所見と合わせて Vogt-小柳-原田病と診断した。滲出性網膜剝離などの急性期眼病変がみられず,髄膜炎や感音難聴の合併もなく,点眼治療のみで視力改善傾向であることからステロイド全身投与は行われなかった。白斑に対してはステロイド軟膏を外用したが改善しなかった。Vogt-小柳-原田病ではぶどう膜炎から 2∼3 カ月後の回復期に夕焼け様眼底や皮膚の白斑など色素脱失所見が出現し,白斑は通常眼周囲や頭頚部に多く分布し,左右対称性であることが多い。比較的広範囲の白斑を伴った Vogt-小柳-原田病の症例は国内外で数例報告されているが,自験例ほどの汎発性の白斑を伴う例は稀である。

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© 2017 日本皮膚科学会西部支部
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