2017 年 79 巻 6 号 p. 566-568
49 歳,女性。3 年前より背部のしこりを自覚し,放置していたところ徐々に増大してきた。初診時,背部に径 20 mm,弾性硬,常色調の境界明瞭な無症候性の皮下結節を認めた。臨床的に表皮囊腫を考え,局所麻酔下に全摘した。組織学的には,真皮から脂肪織にかけて,顆粒層がある重層扁平上皮で構成された囊腫壁で覆われ,内腔に角質成分を含む囊腫を認め,表皮囊腫と診断した。さらに囊腫壁外の辺縁に異所性骨化を認めた。表皮囊腫は重層扁平上皮の囊腫壁で構成され,日常の診療でよくみられる皮膚腫瘍であるが,異所性骨化を伴う表皮囊腫は稀である。我々は,異所性骨化を伴った表皮囊腫を経験したので,文献的考察を加えて報告する。