西日本皮膚科
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症例
BCG 接種を契機に発症した生後 10 カ月の乳児乾癬の 1 例
有隅 由芽伊藤 宏太郎今福 信一
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2018 年 80 巻 3 号 p. 196-199

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抄録

生後 10 カ月の男児。初診の 3 カ月前から BCG 接種部位に角化性紅斑が出現し,次第に両内眼角,右側頚部,背部,陰部に紅斑が拡大したため当科を受診した。初診時,両内眼角,頚部,背部,陰部,左上腕の BCG 接種部位に角化性紅斑がみられた。特徴的な臨床像と背部の厚みのある角化性紅斑の病理組織学的所見より尋常性乾癬と診断し,アンテベート®軟膏の外用を開始したが,皮疹は悪化した。搔破行動などのケブネル現象の抑制のためザイザル®シロップの内服を開始したが改善なく,ボンアルファ®軟膏の併用も効果に乏しかった。初診から 3 カ月経過し,1 歳になった頃より急激に皮疹は改善し,その後軽度の紅斑は持続しているが悪化はなく経過している。本症例は,BCG 接種を契機に発症した尋常性乾癬と考えられた。小児の乾癬は疫学的に女児に多く,家族歴を有し,HLA-Cw6 の発現率が高いことが知られているが,自験例ではいずれも当てはまらなかった。乳児乾癬の治療においては成人と異なり選択肢が乏しく,外的刺激の回避も困難な場合が多い。乳児乾癬の特徴と治療方針について過去の報告をまとめ検討した。

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© 2018 日本皮膚科学会西部支部
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