西日本皮膚科
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治療
アトピー性皮膚炎,特に躯幹四肢の治療におけるベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルローション製剤の有用性の検討
持丸 奈央子川崎 洋福島 彩乃小幡 祥子安田 文世海老原 全
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2018 年 80 巻 3 号 p. 244-249

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抄録

日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎ガイドライン 2016 年版(ガイドライン)に強調されているように,アトピー性皮膚炎患者の治療において,アドヒアランスの向上は重要な要因の一つである。ローション製剤の優れた使用感に注目し,軟膏製剤からローション製剤への切り替えが治療のアドヒアランス向上に寄与すると考えた。今回我々は,躯幹四肢に対する外用薬を,ベリーストロングクラスのステロイド外用薬の軟膏製剤から同クラスのベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルローション製剤に切り替えた症例において,8 週間経過観察し,その有効性と安全性,薬剤の使用感とアドヒアランスを検討した。皮膚重症度 Severity Scoring of Atopic Dermatitis (SCORAD) index,Thymus and Activation-Regulated Chemokine(TARC),かゆみの Visual Analogue Scale(VAS),睡眠不足の指数,Dermatology Life Quality Index(DLQI)はローション製剤への切り替えにより有意に改善した。また,患者へのアンケート結果から,ローション製剤の使用感に対する高い評価が確認でき,ローション製剤はアドヒアランスの向上に寄与していることが推察された。本研究結果から,ローション製剤への切り替えは,アトピー性皮膚炎の躯幹四肢の治療において,有用な選択肢となり得ると考えた。

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© 2018 日本皮膚科学会西部支部
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