西日本皮膚科
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症例
免疫抑制治療中の SLE 患者に生じた再発性水痘
木村 七絵占部 和敬古江 増隆
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2018 年 80 巻 4 号 p. 354-357

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抄録

33 歳,女性。全身性エリテマトーデス (以下 SLE) と抗リン脂質抗体症候群に対して膠原病内科に通院中で,プレドニゾロン 25 mg/日,ミコフェノール酸モフェチル 1500 mg/日,タクロリムス 1.5 mg/日を内服中。初診の 1 週前より全身に紫斑と水疱が出現し,増数した。病理組織学的に検討し,ヘルペスウイルス感染症が示唆されたが,初診時のウイルス抗体価は単純ヘルペス (以下 HSV),水痘・帯状疱疹ウイルス (以下 VZV) ともに既感染パターンであった。帯状疱疹に準じてバラシクロビル内服で加療し水疱はすべて痂皮化した。初診から 3 週後,11 週後時点でウイルス抗体価を測定したが,VZV-IgG・IgM ともに変化はみられなかった。抗 VZV 抗体を用いた免疫組織化学染色で陽性所見を得て再発性水痘と診断した。VZV が再活性化すると通常,皮疹は神経の支配領域に一致した分布を示す帯状疱疹として発症するが,時に原発疹がはっきりせず水痘様の症状を呈することがあり再発性水痘とよばれる。再発性水痘はその発症に高度の免疫抑制状態が関わっており,高齢者や免疫不全患者における発症が多く報告されているが,非典型的な臨床像をとることもあり注意が必要である。

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© 2018 日本皮膚科学会西部支部
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