西日本皮膚科
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治療
岡山医療センターで経験したマダニ刺咬症および Tick Remover の有効性に関する検討
野田 和代浜重 純平沖野 哲也後川 潤浅越 健治
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2018 年 80 巻 4 号 p. 362-367

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抄録

2014 年度に岡山医療センターを受診したマダニ刺咬症 30 例 (男性 15 例,女性 15 例,1~88 歳) について検討した。当院で虫体を除去した症例が 17 例,残りの 13 例は患者自身が虫体を除去していた。原則として市販の tick remover を用いて虫体除去を試みたが,除去不能な症例では切除により皮膚ごと虫体を除去した。Tick remover を用いた 14 例中 12 例で虫体の除去が可能で,いずれも口器の破損はなかった。 除去できなかったのは,ヤマトマダニによる刺咬例と刺咬から受診までに 3 日以上経過している症例であった。種の同定に提出した全 21 個体で同定が可能であり,タカサゴキララマダニ 13 個体,フタトゲチマダニ 7 個体,ヤマトマダニ 1 個体であった。刺咬部に硬結や遊走性紅斑 (tick-associated rash illness) を生じた症例はあったが,全身的合併症やマダニ媒介感染症は認めなかった。Tick remover を用いることにより,重大な合併症なく簡便かつ安全な虫体除去が行え,治療上有益であると考えられた。

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© 2018 日本皮膚科学会西部支部
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