西日本皮膚科
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綜説
経皮感作と食物アレルギー
千貫 祐子
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2018 年 80 巻 5 号 p. 419-424

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抄録

IgE 依存性即時型食物アレルギーの発症には二段階の免疫学的機序が関与する。まず,ある外来抗原に対して生体がこれをアレルゲンと認識すると,抗原特異的 IgE 抗体が産生され,組織中のマスト細胞あるいは末梢血中の好塩基球の表面に高親和性 IgE 受容体(FcεRI)を介して結合する(感作成立)。次いで,同じ抗原あるいは交差反応性を持つ抗原が侵入すると,細胞表面に結合した抗原特異的 IgE が架橋され,ヒスタミンなどの化学伝達物質が遊離され,蕁麻疹やアナフィラキシーが生じる(症状誘発)。これまで長らく,食物アレルギー発症における感作成立は,主に経口摂取した食物に対して経腸管的に生じると考えられてきた。ところが近年,本邦で生じた加水分解コムギ含有石鹸の使用による小麦アレルギー発症の事例を契機に,食物アレルギー発症における経皮・経粘膜感作の重要性が注目されることとなった。

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© 2018 日本皮膚科学会西部支部
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