西日本皮膚科
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綜説
表皮角化細胞死を伴う苔癬反応 (Lichenoid Tissue Reaction/Interface Dermatitis) を呈する皮膚粘膜疾患の病態理解
沖山 奈緒子
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ジャーナル 認証あり

2018 年 80 巻 6 号 p. 511-517

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抄録

皮膚免疫疾患には多数の疾患が含まれるが,病理学的に分類すると,湿疹反応と乾癬様反応,そして苔癬反応 (lichenoid tissue reaction : LTR) の大きく 3 つに分けられる (図1)。病理組織学的分類は,古典的でアナログでありながら,分子生物学が発展した現在になって振り返ると,やはり本質をとらえている。湿疹反応とは,表皮海綿状態と呼ばれる角化細胞間浮腫を特徴とし,皮疹としては漿液性丘疹が代表で,疾患としては接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎で認める。乾癬様反応は,錯角化を伴う棍棒状の表皮突起延長と好中球性の角層下微小膿瘍を特徴とし,皮疹としては時に膿疱がみられる角化性紅斑であり,乾癬や掌蹠膿疱症が代表疾患である。分子生物学的にみると,前者は 2型ヘルパーT細胞 (Th2),後者は Th17 が病態の中心と同定されてきており,すでに創薬に結び付いて臨床現場で使えるようになっていることは,ご承知の通りである。

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© 2018 日本皮膚科学会西部支部
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