西日本皮膚科
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症例
抗 TIF1-γ 抗体が病勢を反映した早期胃癌合併 ADM (Amyopathic Dermatomyositis) の 1 例
松田 知与坂本 佳子原口 祐子菊池 智子古江 増隆
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2019 年 81 巻 1 号 p. 9-13

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抄録

63 歳男性。初診の 3 カ月前に背部,前胸部の紅斑に気付いた。症状の改善がないため,当科を受診した。初診時,頰部の紅斑とゴットロン徴候,ゴットロン丘疹に加え,V ネックサイン,ショールサイン,爪上皮の出血点を認めた。筋痛や筋力低下は認めなかった。血液検査では CK やアルドラーゼの上昇なく,腫瘍マーカーや抗 Jo-1 抗体は陰性であった。病理組織検査では,表皮・真皮境界部に液状変性とリンパ球の浸潤を認めた。皮膚所見・病理組織学的所見より,無筋症性皮膚筋炎(amyopathic dermatomyositis : ADM)と診断した。間質性肺炎の所見や KL-6 の上昇はなかった。抗 TIF1-γ 抗体と抗 Mi-2 抗体を追加検索し,抗 TIF1-γ 抗体は 69 倍と陽性であった。初診日よりプレドニゾロン(PSL) 30 mg/日の内服を開始した。悪性腫瘍の全身検索を行ったところ,上部消化管内視鏡検査で胃体部小弯前壁に皺集中を伴う不整な陥凹性病変がみつかり,早期胃癌の診断となった。胃癌に対し切除術が行われ, PSL を漸減した。PSL 漸減中止後も皮疹の再燃はなく,初診 7 カ月後には抗 TIF1-γ 抗体は陰転化した。

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© 2019 日本皮膚科学会西部支部
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