西日本皮膚科
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症例
右頰部の粘液腫が診断の契機となった Carney 複合の1例
園山 浩子吉見 映里増野 年彦向井 徳男古江 増隆
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2019 年 81 巻 3 号 p. 180-183

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抄録

17 歳,男性。右頰部の腫瘤を主訴に当科を受診した。切除標本は病理組織学的に粘液腫と診断した。 口唇には多数の黒褐色斑がみられた。経食道心臓超音波検査にて左房内に粘液腫を認め,以上より Carney 複合と診断した。その他自覚症状はないものの精査にて精巣内微小石灰化,成長ホルモン産生性下垂体腺腫の合併がみられた。遺伝子検索では PRKAR1A(protein kinase A regulatory subunit 1-α)のフレームシフト変異を認めた。Carney 複合は,皮膚や心臓の粘液腫,皮膚色素斑,数々の内分泌機能亢進状態等を呈する稀な疾患である。約半数は常染色体優性遺伝を示し,原因遺伝子として PRKAR1A が報告されている。自験例では家族に遺伝子異常を認めず,孤発例であると考えられた。Carney 複合は稀な疾患であるが心臓粘液腫を合併すると突然死することがあり,皮膚症状から本疾患を疑い精査を行う必要がある。

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© 2019 日本皮膚科学会西部支部
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