症例 1 は左中大脳動脈領域の脳梗塞で当院に救急搬送され,搬送時にはすでに左第 2,3 頚神経領域の帯状疱疹が出現していた。症例 2 は右三叉神経第 3 枝領域の帯状疱疹でファムシクロビル内服,ビダラビン軟膏外用治療を受けていた。治療開始翌日に両側の大脳半球と小脳半球の多発脳梗塞で当院に救急搬送された。2 例とも脳梗塞発症時に帯状疱疹が出現していたが,高血圧症,糖尿病,高脂血症,心房細動など脳梗塞の危険因子はなかった。そのため,帯状疱疹関連脳梗塞と診断した。神経節に潜伏感染していた水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus : VZV)が血管内皮細胞に感染し,血管炎を惹起し脳梗塞を引き起こしたと考えた。