西日本皮膚科
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症例
潰瘍性大腸炎に合併した角層下膿疱形成が主体の好中球性皮膚症の 1 例
阪野 恵橋本 安希井上 卓也成澤 寛
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2020 年 82 巻 1 号 p. 14-18

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抄録

52 歳,女性。初診の 7 カ月前に潰瘍性大腸炎と診断され,5-ASA 製剤の内服を開始した。2 カ月前より眼瞼周囲の瘙痒と紅斑が出現した。薬疹を疑われ,5-ASA 製剤を中止したが改善なく当科を受診した。 病理組織学的に表皮の不規則な肥厚と角層内の好中球浸潤と不全角化があり,表皮内に好中球浸潤を伴う海綿状膿疱を認めた。潰瘍性大腸炎に合併した好中球性皮膚症と診断し,5-ASA 製剤の内服を再開し,ステロイド内服を行ったところ症状は改善したが,その後も腹痛に伴い皮疹は再燃を繰り返した。Sweet 症候群と壊疽性膿皮症を含む好中球性皮膚症には同様の発症基盤があると考えられ,非感染性・好中球機能亢進・組織への好中球の浸潤を特徴とし,個々の疾患の典型像を示さない例や診断基準を満たさない症例を全て包括し,好中球性皮膚症と総称する。自験例は,病理組織学的に角層下膿疱形成を伴う表皮内の好中球浸潤が主体で,Sweet 症候群や壊疽性膿皮症などの既存の疾患概念に合致せず,炎症性腸疾患に伴う好中球性皮膚症と診断した。

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© 2020 日本皮膚科学会西部支部
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