西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
治療
重症例を含む爪白癬患者に対するエフィナコナゾール爪外用液 10% の長期使用時における有効性の検討
― 多施設共同非対照試験 ―
五十棲 健渡辺 晋一
著者情報
ジャーナル 認証あり

2020 年 82 巻 2 号 p. 103-111

詳細
抄録

われわれは,重症例を含む爪白癬に対してエフィナコナゾール爪外用液 10%の長期使用時(最長 72 週間)の有効性を経時的に評価した。対象は爪白癬と診断され,本試験の参加に同意が得られた 605 名のうち真菌培養検査が陽性であり有効性を評価できた 219 例とした。最終評価時の臨床的有効率(感染面積 10%以下)は 56.6%,完全治癒率は31.1%,真菌学的治癒率は 61.6%であり,それぞれ経時的な上昇が確認されていることから,継続的な塗布が治癒率の向上に寄与することが示された。重症例でも感染面積の縮小が認められており,有効性が期待できる結果であった。爪白癬患者の生活の質に関する質問票(OnyCOE-tTM)を用いた調査の結果から QOL を改善する可能性が示唆された。安全性の評価対象者における副作用発現率は 6.4%で,すべて投与局所のみに発現し,全身性の副作用は発現しなかった。また長期使用による副作用発生率の増加は認められなかった。本薬は安全性に加えて,長期使用による有効性の向上が明らかとなり,爪白癬治療の有用な選択肢になり得るものと考えられた。

著者関連情報
© 2020 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top