症例:92 歳,男性
主症状:左鼠径部の線状黒色結節
既往歴:アルツハイマー型認知症。1 年前より水疱性類天疱瘡を発症し,現在プレドニゾロン 6 mg/日内服中である。
現病歴:上記にて入院中。約 4 カ月前,左鼠径部の線状黒色斑に気づく。次第に隆起してきた。
現症:左鼠径部に,長径がそれぞれ 15 mm と 10 mm,短径が約 1 mm の 2 個の線状黒色結節を認めた(図 1 )。
ダーモスコピー検査(図 2 ):Multiple milia-like cysts を認めた。Arborizing vessels や blue-gray ovoid nests は認めなかった。
病理組織学的所見(図 3 ):1 個を全摘生検し,病理組織学的検査(H-E 染色)を行った。表皮は肥厚し,偽角質囊腫と基底層にメラニン色素の増加を認めた。角化細胞に異型はなかった。真皮にはメラニン色素の滴落と,一部にリンパ球浸潤を認めた。
診断:脂漏性角化症
経過:1 年後も切除病変の再発はなく,未切除病変も増大等の変化はない。便中ヒトヘモグロビン検査は陰性であった。