2021 年 83 巻 1 号 p. 51-60
日本人尋常性乾癬患者を対象に,カルシポトリオール/ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(Cal/BDP)配合フォーム剤と Cal/BDP 軟膏剤の有効性と安全性を比較検討した。尋常性乾癬患者(182 例)を無作為に Cal/BDP フォーム剤群(87 例)と Cal/BDP 軟膏剤群(95 例)に割り付け,体部標的病変に 1 日 1 回最長 4 週間塗布し,ベースライン時からの乾癬症状の改善度で有効性を評価した。また,両治験薬は標的病変以外の病変部にも実施可能な範囲で塗布した。主要評価項目である 4 週時の標的病変の全般改善度は,Cal/BDP フォーム剤群 98.9%(86/87 例),Cal/BDP 軟膏剤群 93.7%(89/95 例)で,両群間に統計学的な有意差は認められなかった。1 週時および 2 週時の全般改善度は Cal/BDP フォーム剤群では Cal/BDP 軟膏剤群に比べて有意に高く,臨床症状の総スコア減少や略治に至った被験者割合も Cal/BDP フォーム剤群では Cal/BDP 軟膏剤群に比べて早期から高かった。治験薬塗布に要した時間が以前の外用薬と比べて「短縮」したと評価した被験者は,Cal/BDP フォーム剤群(39.5%)では Cal/BDP 軟膏剤群(4.3%)に比べて有意に増加(オッズ比:7.29,p<0.001)していた。副作用が Cal/BDP フォーム剤群の 3 例で認められたが,いずれも軽度であった。本試験で Cal/BDP フォーム剤は,臨床症状の速やかな改善,高い有効性,良好な忍容性を示し,さらに,塗布時間を短縮し,塗布し易い剤形であることを示した。以上により,Cal/BDP フォーム剤は尋常性乾癬外用治療の中心になると期待される。