71 歳,男性。10 年ほど前から左下眼瞼に黒色斑を認めていたが,4~5 年ほど前から左目の視力低下が出現し,同時期から黒色斑の急速な増大と一部の潰瘍化を認め受診した。皮膚生検にて基底細胞癌と診断された。造影 CT で左下眼瞼と眼角部に軟部濃度病変を認め,さらに左眼球は眼窩内で尾側より圧排されていた。根治を目的に左眼周囲皮膚悪性腫瘍切除術,左眼窩内容除去術,動脈皮弁作成術および左頚部リンパ節摘出術を施行した。術後 3 年 6 カ月の経過で再発所見は認めておらず,現在も経過観察中である。基底細胞癌の局所浸潤で眼窩内までおよぶ症例は稀であるため,文献的考察を含め報告する。