西日本皮膚科
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症例
臀部に出現した Ischemic Fasciitis の 1 例と本邦例の検討
佐藤 崇興坊地 実吉河 康二甲斐 宜貴
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2021 年 83 巻 3 号 p. 192-197

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抄録

91 歳,男性。既往にアルツハイマー型認知症,2 型糖尿病があり長期臥床している。数年前より四肢に皮下腫瘤が出没していた。初診 6 カ月前に仙骨部左側に,初診 3 カ月前に右臀部に皮下腫瘤が出現,初診 1 週間前に仙骨部左側の皮下腫瘤に皮下出血を伴い当科を受診した。仙骨部左側に 6×4 cm,尾骨部右側に 4×3 cm,右腸骨稜部に 5×4 cm,右大転子部に 4×4 cm のゴム様硬の皮下腫瘤を認めた。病理組織学的検査では表皮と真皮に特異的な所見は認めなかったが,皮下組織に変性,壊死,出血を伴い線維芽細胞と筋線維芽細胞の増殖を認める central area とそれをとりまく肉芽腫性病変を認め,ischemic fasciitis と診断した。本疾患は四肢,臀部に好発する稀な良性腫瘍で,慢性に圧負荷がかかる部位に生じやすいとされる。診断は病理組織検査と MRI でなされることが多いが,特に類上皮肉腫や粘液線維肉腫などの軟部悪性腫瘍との鑑別が問題となる。

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