2021 年 83 巻 3 号 p. 212-216
34 歳,男性。小児期よりアトピー性皮膚炎で不定期に通院加療していた。10 歳頃から夏季の発汗時に手背から手・足関節の皮膚が白く浸軟し,乾燥すると消退するようになった。初診時,手背,両手関節,膝,両足関節の皮膚が肥厚し色素斑がみられた。手背の肥厚した部分より皮膚生検を行い,病理組織学的に過角化とエクリン汗腺の拡張がみられた。高温多湿環境下で発汗を促したところ,手背から手・足関節の色素斑の部分が白く浸軟した。特徴的な臨床症状より symmetrical acrokeratoderma と診断した。五苓散の内服で自覚症状は改善した。Symmetrical acrokeratoderma はこれまでに 11 例の英欧文報告例があり,そのうち 9 例が中国やインドからで本邦報告例は 1 例のみであった。