西日本皮膚科
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図説
カボザンチニブによる陰囊紅斑
松立 吉弘
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2021 年 83 巻 5 号 p. 389-390

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抄録

患者:61 歳,男性

主訴:陰囊の紅斑

現病歴:腎癌の多発遠隔転移に対し,アキシチニブ,ニボルマブ,スニチニブで順次治療していたが,病勢進行のため,3 週間前からカボザンチニブ 60 mg/ 日を開始した。数日前から陰囊に紅斑が生じ疼痛を伴うため受診した。

現症:陰囊水腫がみられた。陰囊には左右対称性に紅斑がみられ(図 1 a),一部では弛緩性の水疱,びらんを形成していた(図 1 b)。

診断:カボザンチニブによる陰囊紅斑

治療および経過:ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏の外用およびガーゼ保護で症状は改善した。柔らかい下着,ズボンを着用するように指導し,以後は再発なく経過している。なお,カボザンチニブ開始時に手足症候群の有害事象について説明を受け,ヘパリン類似物質クリームを外用していたこともあり,経過中に手足症候群を生じることはなかった。

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